今年の夏、というか梅雨の時期から日差しがきつくてたまらなかったので、日傘を買おうと思った。日傘といえば婦人用というイメージが強いが、最近は紳士用も少なからずあるらしい。ちょっと探してみようと思い、Amazonだの何だのを見てみた。
どう見ても雨傘です。ありがとうございました。
「雨でも晴れでも使えるんです」みたいな日傘が多い。それはそれでいいのだが、雨傘にしか見えない。晴れの日に雨傘をさしていたらバカにしか見えない。紳士用の日傘はマイノリティに他ならない。「男性は日傘を使わない」というイメージがある以上、晴れの日に雨傘にしか見えない日傘をさしていたら、それは雨傘に他ならない。人は真実に目を向けないことを忘れてはならない。
小宮商店
日傘に見える日傘はないものかと思い、いろいろ探してみると小宮商店や前原光榮商店といった老舗にはあるようだ。前原光榮商店はお値段が高いので早々に諦めた。小宮商店に狙いを絞ってネットの画像を見ていたが、いまいち素材感が掴めない。絹、麻、綿でラインナップが揃っているが、肉眼で見て触ってみないとよくわからん。
安くはない買い物をするので、リアル店舗へ行くことにした。東日本橋までわざわざ行ってきたのである。そもそも、日傘がどんなものかもよくわからない。実は大した効果がないのでは?という疑いもあった。
店舗で見ていると、店員さんがいろいろと説明してくれた。ちょうど炎天下だったのと客が俺しかいなかったので、外でいくつか試させてもらった。素材感はどれもよかった。綿は遮光性能が高い。麻は遮光性能が綿より劣るが、素材感がすごくよかった。とっかえひっかえしながら、いろいろ悩んだ結果、遮光性が高い綿のものにした。「初めての日傘なら値段や性能で綿のものがいいでしょう」とのアドバイスを頂いたのが決め手。
見た目
ハンドルを選べるとのことだったが、日傘といえばハンドルは竹のイメージが強かったので、店頭に出ていたそのままにしてもらった。折りたたみは好きじゃないので、長傘である。木製のハンドルは握り心地が最高に良い。ずっと触っていたくなる。竹のハンドルなので、少し細めだがあまり気にならない。シャフトも木製で涼しげに見える。
骨は8本でスッキリしている。骨の本数は16本とか多いものよりも8本が好きだ。ゴツい傘はあまり好きではない。嵐の日は外出ないし、そもそも日傘だし。
生地は綿100%で見た目はデニムっぽいが、生地自体はデニムよりも薄い。色はグレーに少しネイビーが入った色にした。明る過ぎず暗すぎずの色味としてはこのくらいがちょうどいい気がする。ビジネスでもカジュアルでも不自然にならなそうな色合いだと思う。
生地の裏側はラミネート加工で一級遮光らしい。この加工で生地全体に厚みが出ている感じがするけども、ここらへんはトレードオフなんだろうなぁ。店頭で全生地を試させてもらったが、このラミネート加工されているものが一番涼しかった。麻や絹も試したが、綿+ラミネート加工が日差しを一番遮ってくれる。
長さは55cmで畳んだ状態だと短く見えるが、広げてみると意外と大きい。日差しを遮るだけならこれくらいで十分に感じる。
使い心地
使ってみると日差しをカットしてくれて、ジリジリとした暑さというか熱さをシャットアウトしてくれる。これだけでもだいぶ楽で、外を歩く気になれる。常に日陰を歩いているような感じだ。太陽が真上にある正午でもそれほど苦にならない。なるほど、これは良いものだ。なぜ今まで日傘を使わなかったのか。
ラミネート加工の遮光性能は高く、日差しは全く苦にならない。肩から上は完全に日陰になるので、それだけで楽である。全身が日陰になるわけではないので、腰から下くらいは日差しが入り込んでくるが、それは仕方ない。パラソルでも持ち歩かない限り、全身は隠れない。
55cmというサイズ感もいい。紳士用雨傘の65cmだと傘の先端が地面についてしまうが、55cmだと地面にもつかず、さした時も十分な大きさだ。綿で遮光素材が裏側に貼ってあるので畳んだ時はかなり太いのだが、全体が短いので不格好さはそんなに感じない。雨傘だったら「何持ってるの?棍棒?」と感じる太さだが、素材や色味、長さの全体的なバランスのおかげでそんなことは感じない。
ワンシーズン使った感想
普通によかった。日傘なので夕方以降は邪魔になるのは盲点だったが、木製ハンドルの握り心地の良さがいい具合にカバーしてくれる。持ってると幸せな気分になるハンドルである。安いビニール傘なんかは途中で捨てたくなるが、これは持っていても苦にならない。
通勤の時は持って行ったし、映画や買い物といった日常の外出にも持っていった。映画館だと邪魔になるのではないかと思ったが、それほど邪魔にはならなかった。
日差しを遮ってくれるので例年よりも外を歩くのが楽だった。しかしながら、暑いものは暑い。暑さを凌ぐためのアイテムなのでエアコンにはならない。
あと俺のように毛根がレッドリスト入りしているようなハゲには、頭皮に直射日光が当たらないのがいい。直射日光で毛根が死滅していくのは諦めているからいいのだが、頭皮が焼かれるような感覚がなくなる。「反射させてすみません」のようなよくわからない申し訳なさも感じずに済む。
もう冬になってきたが、今年の新人賞といっても過言ではない日傘は、もうクローゼットに仕舞い込んでしまった。来年も荒廃した頭皮を直射日光から守ってくれるだろう。
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