iKon B1 Slant

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GilletteのAristocratを巡る旅もほぼ終わったので、現行ホルダーをつまんでいこうと思い、手を出したのがiKon B1 Slantである。現行のShave Craftシリーズは一通り持っているにも関わらず、X3と素材以外は大して変わらないと評判のB1 Slantに手を出したのである。

結論から言うと、ほんのわずかながら違いを感じた。B1 Slantの方が肌への吸着というか、髭を捕らえやすい。X3はアルミとはいえ、謎配合のアルミ合金であるため、普通のアルミヘッドよりも重く、重さについてはあまり差を感じない。

素材にこだわりなければ、B1 Slantの半額で買えるX3でいいし、所有欲を満たすことを除けば両方買う必要はない。

見た目

その名の通り、替刃をセットした際に刃が斜めになるスラントに分類される。肌に対して刃が平行ではなく、少し斜めになることで髭がカットしやすくなる効果がある。要は垂直に切るよりも、斜めに刃を入れた方が切りやすいよねという発想のもと、こういった形をしている。

素材はステンレスでDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングが施されている。DLCとはなんぞや、と思って調べてみたが、途中でめんどくさくなった。とりあえず硬いらしい。

このDLCコーティングにより、全体が黒光りしている。写真で見た時はもう少しプラっぽいのかと思ったが、実物を見ると艶と光沢があり高級感のある仕上がりになっていた。特にトップキャップは惚れ惚れする。鏡面仕上げにするよりは、こういったコーティングを施してしまった方がコストが抑えられるのかもしれない。

ベースプレートはX3がスカルプ状のクローズドバーなのに対し、B1 Slantは完全なクローズドバーだ。また、B1 Slantは替刃を押さえるように針山のような突起が連なっている。この部分がどういう意味なのかはよくわからないが、B1 Slant特有の表情を作り出している。Merkur 37Cには及ばないが、いい感じに中ボス感が出ており気に入っている。

B1 SlantとX3を並べてみたところ。形としてはほとんど差がない。

最初使おうとした時、替刃のセットが突っかかる感じがして、最初はトップキャップとベースプレートの噛み合わせがズレているのかと思ったが、そういうわけではなく、単純に替刃の捻り具合が大きいだけらしい。ハンドルをねじ込むと終盤当たりで突っかかるが、そのままねじ込んでしまえば問題なくセットできる。

使い心地

マイルドだが、スラントであるせいかシャープに剃れる。最初はiKonのマイルドホルダー特有の剃れている感触がほとんどしないのかと思ったが、単純に角度がよろしくないだけであった。

とはいいつつ、やはりマイルドで当たりは弱めなのにシャープさが増すスラントなので、替刃選びは少しシビアだと感じている。当たりが弱い替刃だと剃れている感触が少ないし、かといってゴリゴリに当たる替刃だとシャープ過ぎる。 Gillette 7 O’Clockだと少しシャープ過ぎる印象を受けた。 個人的にはPolsilver SIが安牌だが、ここらへんは人によって違うだろう。

力を抜くだとか、アングルをキープするだとか、両刃カミソリをはじめとする一枚刃のコツやテクニックとは微妙に違う慣れを求められるホルダーではあるが、ある程度感触を掴んでくると、当たりの弱さに比べて深剃りが利き、アングルキープの厳しさもそれほど要求されない良いホルダーであることがわかる。

冒頭でも書いたが、X3よりも肌へ吸着して髭をよく捕らえるので、肌への当たりは同程度だが、B1 Slantの方が扱いやすい。感覚としてはB1 Slantの方が心持ちアグレッシブかもしれない。

一発で剃り上げるタイプではないので、角度の調整をつけつつ追い込んでいくような使い方になるかと思う。ショートハンドルよりもロングハンドルの方が相性がいいかもしれない。

まとめ

Shave Craftシリーズを持っているので、B1シリーズに手を出すつもりはなかったのだが、実際に持ってみるとこれはこれであってもいいんじゃないかという妄執に囚われ始めている。

次に手を出すとしたらステンレスホルダーもしくはスラント以外に自分の中の選択肢がないので、大好きなiKonのB1シリーズはうってつけと言える。ただ、このブランドは一気に市場に出回ったかと思ったら、それが枯渇するまで生産しないので、油断しているとショップの在庫がなくなってしまう。ショップの在庫がなくなるスピードに財布がついてくるか微妙なところだ。

iKon B1 Slant Head

80 USD
8.8

使いやすさ

8.0/10

デザイン

9.0/10

快適さ

9.0/10

深剃りのしやすさ

9.5/10

価格

8.5/10

Pros

  • ステンレス製でDLCコーティングが美しい
  • スムーズで深剃りができる
  • シャープな切れ味

Cons

  • 少し慣れがいる
  • 替刃選びがシビア

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