Polsilver SIがとうとう入手困難になり、手元の在庫もなくなったので本格的に代替となる替刃を探すことになった。普段はPolsilver SIかGillette Platinumかのどちらかで、比較的高価な替刃をメインで使っている。今回は安価な替刃を色々試してみた。
安価とする基準はRazor Blade Clubでの1パックとしている。1パック5枚入りとして0.75ユーロ前後(日本円で100円くらい)を安価な価格帯とした。1パック10枚入りなら、その倍の1.5ユーロ前後である。
1パックあたりの価格などで100枚とかまとめて買うと、さらに安くなるし、Razor Blade Clubは少し高めなのでeBayでまとめ買いすると、さらに安くなる。
今回はエジプト製替刃の使い比べである。すべてLord社製だ。
替刃は1日ごとに交換しているので、おろし立ての使い心地しかレビューしていない。つまり、耐久性については言及していない。新品5枚を色々なホルダーで試している。
Lord – Superior Platinum
5枚パックで0.75ユーロ。Lord社製の替刃は色々があるが、社名がそのまま製品名となっていることから、フラグシップ品だと勝手に思っている。Lordシリーズ自体は色々あるが、今回はSuperior Platinumを選んだ。メジャーなのはおそらく白地に赤ロゴのPlatinumだと思う。
シャープでもなくダルでもない中庸な替刃という印象である。Astra SPよりもシャープ感は少ない。普段からシャープ刃を使っていると少し物足りないかもしれない。
剃り上がりとしては少し不満が残る。Gillette NEWやMuhle R89あたりだと、一部の毛が寝ているような場所には、ほんの少し剃り残しが出た。ミディアムアグレッシブなiKon #102やスラントのiKon B1 Slantでもまだ100%満足するまではいかなかった。
さすがにMuhle R41では剃り残しは出ないが、ATGは少し引っかかる感じがした。
使用ホルダー
- Gillette: No.77 (England NEW)
- Muhle: R89
- iKon: ShaveCraft #102 Comb
- Muhle: R41
- iKon: B1 Slant
Big Ben – Super Stainless
5枚パックで0.75ユーロ。エジプト製なのにイギリス製っぽさが溢れ出ているパッケージとネーミングである。
使用感はLordよりも少し当たりが強いかな。シャープさはそれほど感じない。普段、ダル刃をあまり使わないので、ここらへんの感覚がうまくつかめない。
剃り上がりはLordとそれほど変わらず、満足いく仕上がりにはならなかった。マイルド系ホルダーで剃ると、手で触って剃り残しがほんの少しあることがわかるくらい。アグレッシブ系はWunderbarでしか試していないが、結果は同じであった。
肌にあたる感覚はあるが、あまり剃れていないという印象。コーティングがステンレスだと、全般的にそんな感じになるのかもしれない。
使用ホルダー
- Merkur 34C
- Gillette: Aristocrat 1946-1947
- RazoRock: Game Change .87
- RazoRock: Wunderbar
- Colonial Razors: The Silversmith
Shark – Super Stainless
こちらも5パックで0.75ユーロ。Sharkは国内でも安価で有名な替刃である。クラシックシェービングを始めたての頃に試してみたが、あまり肌に合わなかった記憶がある。替刃の良し悪しはテクニックにも左右されるので、今回改めて使ってみることにした。
フィードバックがあるが、シャープではなくダル刃で感触としてはBig Benに近いかと思う。Astra SPをダルに寄せたような剃り心地だ。LordやBig Benと同じように剃れてはいるが、満足とはいかない。
フィードバックが強めなので、剃っている間は使っていて楽しい替刃である。
やはりダル刃は自分には合わないという確信めいたものが出て来て、これ以上エジプト製の替刃を使う気力が失せてきてしまった。
使用ホルダー
- Muhle R89
- iKon: ShaveCraft #102 Slant
- iKon: ShaveCraft #104 Tech
- Gillette: Aristcrat No.16
- RazoRock: Babysmooth
Crown – Platinum
こちらも他の替刃と同じ5枚入りで0.75ユーロであった。パッケージは少しレトロ感がある。「なんだかよさそう」という印象を一切感じない。実際使ってみても「ちょっとこれは無理だな」と思った。替刃としての役割は果たしているが、個人的な好みとはかけ離れている。
肌へのあたりはかなり弱く、Lordと同じようにあまり当たっている感じがしない。また、Shark並のダル刃なので、サッと剃れるわけでもない。WTGだと半分は残ってるんじゃないかと思うくらい剃れてないのだが、XTGやATGでようやく剃れているのがわかる。
剃れてるのか剃れていないのかわからない上、実際にあまり剃れていない。ついつい無意識に力が入ってしまったようで、久しぶりにカミソリ負けをしてしまった。
1枚目はMerkur 34Cで剃ったが、我慢の限界を超えたタイプの替刃だったので、今回はスラントのみで攻めることにした。セミスラントっぽいATT S1ではスラントの効力をあまり実感できなかったが、iKon B1 Slantくらいになるとシャープな感じになり、それなりに満足できる程度に剃ることができた。スラントってすごいな。
使用ホルダー
- Merkur: 34C
- Above The Tie: S1
- iKon: B1 Slant
- RazoRock: Wunderbar
- Merkur 37C
ASCO Platinum
ASCO Platinumは10枚入りで1.99ユーロで、他の替刃と比べると少し割高である。とは言っても、今までの替刃は個人的には好みに合わなかったので、値段が高い分、少し期待ができる。
使ってみると、他のLord社製よりも少しシャープな印象を受けたが、十分なシャープさというわけではない。Sharkのようなゾリゾリとするフィードバックではないが、そこそこのフィードバックがある。バランス感としては今回紹介した替刃の中では最も好みである。
しかし、3パス目からすでに劣化が始まっているような感覚があり、3パス目でやや引っかかりを感じ、少しカミソリ負けをしてしまった。
標準的なブレードギャップのホルダーでは2パス目までは快適なものの、3パス目で少し引っかかりを感じた。ヴィンテージGilletteだと剃り心地としてはまずまずといったところ。R41で2パスが深剃り感があり、ちょうどいいくらいであった。
今回試した中ではまずまずなのだが、結局のところダル刃で好みではない。
使用したホルダー
- RazoRock Game Changer .68
- Gillette Aristocrat No.16
- iKon ShaveCraft #102 Slant
- Muhle R41
- RazoRock Game Changer .84
まとめ
トータルで見ると、全部ハズレという感じだ。やはりシャープ刃の方が好きなんだな、と再認識した。あまり好みではない替刃を約1ヶ月使い続けるというのは、なかなかの苦行であった。これまでシャープ刃しか使ってこなかったので、ダル刃がどのようなものかを認識できたのが唯一の収穫だった。
今回は全部Lord社の替刃を試したので、偏りがすごい。CROWNを試しているあたりからシャープ刃とはどのようなものかが思い出せなくなりそうになった。全て試し終わった後にシャープ刃を使って剃ってみたら、ものすごくしっくり来た。
Lord社製の替刃は安いのが多いけど、多分もう買わないかな。この価格帯だったら、ASTRA SPを100枚買った方が俺は幸せになれる。
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