Phoenix Artisan Accoutrements: The Alpha Ecliptic

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Phoenix Artisan Accoutrements(以下、PAA)はシェービングソープやアフターシェーブが有名だが、ホルダーも作っている。ヴィンテージ品を復刻させたモデルが多く、今回紹介するAlpha Eclipticもヴィンテージ品を復刻させたホルダーだ。ベースにしているのはWalter Busch & SohneのWalbusch Humpack Slantで、元々はベークライトだった。これをアルミニウム製で復刻させたのがAlpha Eclipticである。

Alpha Eclipticはいくつかカラーバリエーションがあるが、一番新しい青(Blue)を購入した。他の色は残念ながら廃番のようだ。前から気にはなっていたのだが、アルミ製ということもあり敬遠していた。RazoRockのBBSでも書いた通り、「アルミ製も有りではないか」と思い始めていたのと、少し割引になっていたので、購入した。軽量かつスラントは初めてなので、どのようなものか期待と不安を抱きつつ使ってみた。

見た目

スリーピースのスラントホルダーだが、トップキャップの形が非常に変わっている。普通は丸みを帯びて平たい形をしているが、Alpha Eclipticは三角形のようになっている。そのせいもあり、ヘッドが妙に大きい。ベースプレートはやや厚みがあり、これも少し変わっている。クローズドバーであれば、ラザースロットがあるが、Alpha Eclipticは窪みがあるだけである。この窪みがラザースロットの代わりになっているようだ。

スラント部分に目を向けると、刃を捻るタイプではなく、iKon #102のようにトップキャップのネジ部分が斜めについており、ハンドルに装着するとヘッド自体が傾くという仕組みである。スラントは幾つか持っているが、この仕組みはめずらしい。

全体的に変わった形をしているが、替刃を装着して感じるのはブレードギャップ(ベースプレートと替刃の隙間)が妙に広いところだ。ラザースロット代わりの窪みのせいで、ブレードギャップが広く見える錯視効果があるかも知れないが、これほど離れていて大丈夫なのか不安になってくる。ブレードギャップはアグレッシブさを決めるパラメータの一つだからだ。

素材がアルミなので非常に軽い。ヘッドとハンドルを合わせて39gである。ただ、ヘッドが大きいので実際の重さよりも少し重く感じる。重量のバランスはヘッド側に寄っているので、体感の重量はやや重く感じるのかも知れない。

ハンドルの方はボールエンドのような形をしており、少し変わっているが、そこまで突飛なものではない。少し細めなところが主流から外れているが、ヴィンテージの復刻というところを考えると、細い方がヴィンテージ感が出るだろう。素材が軽いので、多少太くしたところで重さは変わらないので、雰囲気が出ていた方が良い。

色は深みのある青で、イメージとしては紺に近い青だ。PAAのサイトだともう少し明るい青で「ホワイトバランス調整しすぎじゃない?」と感じた。色はそれほど重視していない、というか、カラーバリエーションは青一択なので、あまり気にしていないが、色味を期待する人は少し裏切られるかも知れない。

使い心地

軽量ホルダーのスラントは初めてなので、恐る恐る使ったのだが、思ったよりもちゃんと使えた。肌への当たりはミディアム〜アグレッシブというところだろう。少なくともマイルドではない。ブレードギャップから感じるようなアグレッシブさではない。

そこそこスムーズでシビアな感じはあまりしないが、マイルドホルダーのような手早く動かせるわけではない。多少の緊張感があるので、マイルドホルダー派向けというよりはアグレシッブホルダー派向けかも知れない。感覚としてはiKon #102くらいで、Wunderbarよりマイルドと言ったところか。

軽さには慣れが必要かも知れないが、1ストロークでしっかり剃れるので、力を入れないよう意識すれば難なく使える。スラントの醍醐味であるシャープ感がよく出ていると思う。とはいえ、2パスでBBSとまではいかず、自分の場合は3パス+タッチアップで、パス数としては通常通りだ。タッチアップの手数は少なく、BBSへ持っていける。しかし、鼻下のような皮膚が薄めのところの逆剃りは難しい。

ステンレスホルダーのようなどっしりとした安定感はないので、両刃カミソリへの慣れはある程度必要だ。PAAのホルダーは明らかに道楽を狙ったのが多く、Alpha Eclipticは完全に道楽ラインなので、これを買おうと思う人なら普通に使えるはずだ。初心者向けというわけではないが、強いて言うなら、Merkur 37Cあたりの次ステップくらいの立ち位置ではないかと思う。

ヘッドが大きいので取り回しはやや扱いづらいところがあるのだが、当たればスッパリと剃れるので、あまり気にならない。ソープスロットがなくても、窪みが深いので泡が顔に残ることもなく自然に使える。変わった形によるデメリットのようなものはほぼない。

まとめ

PAAのホルダーだと、DOCやAscensionが一番メジャーな気がするが、今回は道楽ラインのAlpha Eclipticにした。見た目が奇抜さなのでどうなることかと心配だったが、思ったよりも使いやすかった。完全に物好きな人が買うホルダーなので、そんなに強くはオススメしないかな。

あと、値段は通常75ドルで少し高い気がする。スラントは少し高めの価格設定になっていることが多いのだが、それを差し引いても少し値段と見合わないかな。この値段でスラント攻めるならiKonあたり狙った方が幸せになるかもしれない。iKonは流通にムラがあるけど。

もともと道楽のつもりで期待値が低めだったので、印象はそれほど悪くない。本気で使うつもりだったら後悔したかも。多分、気まぐれに使うと楽しいタイプのホルダーなので、持っていてもいいかもしれない。

The Alpha Ecliptic

70 USD
8.6

使いやすさ

7.5/10

デザイン

9.5/10

快適さ

8.5/10

深剃りのしやすさ

9.5/10

価格

8.0/10

Pros

  • 深剃りがしやすい
  • ミディアム・アグレッシブだがスムーズさは失われていない
  • デザインが変わっている

Cons

  • 価格は性能のわりにやや高め
  • 日常使いではなく、道楽使いなので、好き嫌いが別れる

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