Gillette Aristocrat No.16

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イギリス製のAristocratの第5弾はNo.16だ。今回はeBayでもヤフオクでもなく、EtsyのPacificShaveShopというオーストラリアのショップから購入した。

etsy.com

このショップはAristocratの入荷が頻繁にあるのだが、数時間で在庫切れになってしまう。ただ、比較的割安で状態が良いものが多いので、ヴィンテージに興味がある人はInstagramをフォローして入荷情報をチェックするのもいいだろう。

今回、No.16を手に入れたので、イギリス製Aristocratの代表的なバリエーションは集め終えた。かなり散財してしまったが、ヴィンテージとの出会いは縁でしかないので結果としてはよかったのではないかと思っている。

見た目

今回手に入れたものは状態がかなりいい。ノブのメッキは剥がれているところがあるが、ハンドルとヘッドのメッキは完全に残っている。ロジウムらしい光沢である。

全体的な見た目はNo.66とほぼ変わらず、角度によってはまったく区別がつかない。No.16のベースプレートはフラットタイプで、後期のモデルよりヘッドが大きいくらいの違いしかない。eBayあたりでNo.16謳っていても実はNo.66ということもあり得る。(いい加減なセラーだとAristocratと言いながら箱に入ったSuper Speedを出品している)

前モデルのNo.21からは少し変わっており、センターバーがドアからはみ出しているノッチドタイプとなっている。また、ドアの開閉によって全長が変わり、ベースプレート以外は後期のBritish Gilletteである。

No.16の魅力はなんといっても重さである。重量は82gとAristocratの中でも最も重い。おそらくGilletteの中でも最も重いのではないだろうか。アジャスタブルのFatboyよりも重いのだ。

実は届いたその日に分解しているので、理由はわかっている。ネジによる固定箇所であるノブが他のTTOよりも長いのだ。ノブがハンドルに埋まっているイメージになるのだが、この埋まっている部分がやたら長く、センターシャフトが短くできているので、金属の使用量が多いのだ。実際、ノブとハンドルが重なる部分に重心がある。

使い心地

重量があるのでずっしりと安定した剃り心地だ。肌への当たりはマイルドと言ってよく、スムーズに剃れるし角度もシビアではない。それでいて深剃りができる。両刃ホルダーとしてのバランスは神懸かり的に良く、おそらくこのバランスを超えるホルダーに出会うことはないだろう。

刃が肌にぴったりと吸い付き、繊細なフィードバック残しつつ、流れるように剃れていくのはとても心地いい。ここらへんは40年代のイギリス製Aristocratに共通した特徴ではあるが、重量感がある分、さらに安定感が増している。

今までこのブログで紹介した他のイギリス製のAristocratと比べても安定感は一番いい。個人的にはスムーズさや快適さはNo.15がわずかに上だと思うが、替刃で調整できるレベルの差しかないように思う。

両刃ホルダーとしてのスペックの割り振りが完全な黄金比になっているホルダーである。海外のフォーラムにあった「No.16が最高峰だ」というレビューを十分に理解できる剃り心地である。マイルドホルダーの目指すべき到達点だと思う。

まとめ

イギリス製のAristocratはこれが最後となる。そのうち、それぞれの見た目の違いだとか、使い心地の差というはまとめてみたい。

短期間でAristocratを集めたので、今のところ、両刃ホルダーはAristocrat以外を使う気が起きないというのが正直なところである。もともと、アグレッシブなホルダーよりもマイルドなホルダーの方が好きだし、Aristocrat以上に完成度の高いマイルドホルダーがあるとはあまり思えないのだ。

一方でMerkur 34CやMühle R89というのはよくできたホルダーだということが改めて分かる。イギリス製のAristocratがマイルドホルダーの最高点だとすると、定番の2つはそれに近しい位置にいるのだ。定番というところで軽視しがちではあるが、定番になる理由はちゃんとあるのだと改めて痛感する。

 

Gillette Aristocrat No.16

100 - 200 USD
9.2

使いやすさ

10.0/10

デザイン

9.5/10

快適さ

10.0/10

深剃りのしやすさ

9.5/10

価格

7.0/10

Pros

  • Aristocratの中で最も重い
  • 快適で深剃りができる。
  • バランスがよく使いやすい

Cons

  • ヴィンテージ品で価格が一定ではない。
  • 出玉が少ない。

コメント

  1. としおー より:

    更新お疲れ様です!
    最近バタバタしてましてしばらく覗いていなかったのですが、最近はvintageのgilletteの記事なのですねー

    ボクは中古というのが気になって、vintageには手を出さなかったのですが、前日オクでgillette super speedのFlare tipを手に入れました。
    G3の刻印があるので61年製でしょうか。
    状態は…初めてのvintageなので分かりませんが、塗装ハゲや歪みなどもないのでまぁまぁの個体じゃないでしょうか?ただ細かい傷があったので鋭意研磨中ですw
    これも中々の沼っぽいですね…自制心との戦いですw

    最近Phoenix&Beauのソープを買いました
    良いですね!albion気に入りました!
    Barrister&MannのCheshireみたいな爽やかな柑橘の香りがこれからの季節に良いかと思いました

    主さんの過去記事を読み返して片刃欲しくなっちゃって…でも高いし…
    んでシックのインジェクターをオクで買うことにしました
    SUPPLYのSingle Edgeと悩みましたが、取り敢えずどんなものか試したくて…

    主さんは片刃と両刃とどっちの出番が多いですか?

    • suzuki より:

      としおーさん、コメントありがとうございます。

      ヴィンテージはメッキの剥げや歪みがなければだいたいOKだと思っています。
      (最近はメッキの剥げも気になりませんが)
      あまり研磨しすぎるとメッキも剥がれてしまうので程々くらいがいいですよ。

      P&BのAlbionは使いやすいので、減りが早いです。

      片刃と両刃の出番でいうと、半々くらいです。
      最近はAristocratを使いこみたいので両刃多いですが、
      マイルドなら両刃、アグレッシブ寄りなら片刃というような住み分けにしています。

      インジェクターも興味あるのですが、今のところは自重中ですw