今回は両刃カミソリを使って髭剃り(シェービング)をしてみようという人向けの記事で、シェービングそれ以前の話だ。両刃カミソリの使い方と選び方について書いてみたい。
道具としての使い方はあまり書いてこなかったので、たまにはこういうのもあってもいいんじゃないかと思った。あと、実験的に動画を使っている。
ホルダーの使い方
両刃カミソリの本体をホルダーと呼ぶ。厳密なニュアンスは微妙に違うが、ほとんどの場面では「両刃カミソリ≒両刃ホルダー」だと思って差し支えない。替刃を装着するのでホルダーである。
両刃カミソリのホルダーと替刃はいろいろな国・メーカーから出ているが、現行品であればすべてのメーカーが出しているホルダーと替刃は互換性がある。100年前に発売されたホルダーと現行品の替刃ですら互換性があるので、驚異の後方互換である。
ホルダーにはいくつか種類があるが、それぞれ替刃の装着方法が異なるので、見てみよう。
3ピース
最もオーソドックスかつ古典的なホルダーで、だいたいのメーカーが3ピースである。ヘッドとハンドルをネジで固定するタイプである。ヘッドをハンドルから外すと、ヘッドがトップキャップとベースプレートの2つに分かれる。画像の左からトップキャップ、ベースプレート、ハンドルの3つで構成されるので「3ピース」と呼ばれている。
替刃はトップキャップとベースプレートに挟み、ハンドルを締めれば替刃が固定されて使えるようになる。非常に単純な仕組みである。
2ピース
あまり一般的ではないが、両刃ホルダーの定番メーカーであるMerkurが出しており、両刃ホルダーの中でもシェアがやたらと高い。3ピースと違いベースプレートとハンドルが一体化しており、分離するのはトップキャップのみである。2つに分かれるので「2ピース」である。
Merkur以外に出していないので、Merkur 34Cで説明するが、ハンドル下部のノブを回すとネジが緩み、固定されたトップキャップが外れる仕組みになっている。替刃は3ピースと同じようにトップキャップとベースプレートに挟んで、ノブを締めれば刃が固定される。
TTO
Twist-to-Openの略で、1ピースやバタフライオープンとも呼ばれる。ハンドルのノブを回すと、上部の扉が開き、替刃を乗せて、扉を閉めると替刃が固定される仕組みである。
このTTOは現行でも一部のメーカーが出しているが、最も出回っているのがGilletteのヴィンテージ品である。60年以上も前の品だったりするが、構造が単純なのと現代のようなコスト重視の金属加工技術がなかったせいか、やたらと頑丈にできており未だに現役で活躍している。
選び方
両刃ホルダーは無数にあるが、選ぶ基準となるのは「アグレッシブさ」と呼ばれる肌への当たりの強さである。ひげそりの原理はカンナと同じなので、肌を削るか削らないかの瀬戸際で髭を剃っていくので、刃が肌に当たる強さを示す尺度を「アグレッシブさ」という表現している。
アグレッシブな両刃ホルダー
刃が肌にキツく当たるホルダーは「アグレッシブなホルダー」と呼ばれる。刃の当たりが強い分、簡単に深剃りができるが、使い方が悪いと肌が弱って荒れてしまったり、肉も削って流血沙汰となる。日常使いは難しいが、アグレッシブなホルダーが好きという人もいるので、好き嫌いは好みじゃないかと思う。
扱いも難しいがアグレッシブなホルダーは肌への当たりが強いだけで使っていて不快というホルダーも中には存在する。
個人的にあまり好き好んで買うホルダーではないので、あまり詳しくない。Mühle R41やiKon #104あたりがおそらく最強で、Merkur 37Cあたりからアグレッシブな部類に入ってくるだろう。
マイルドな両刃ホルダー
アグレッシブなホルダーに対して肌への当たりが弱い両刃ホルダーは「マイルドなホルダー」と呼ばれる。個体数としてはマイルドなホルダーの方がアグレッシブなものより多いのではないだろうか。
肌への当たりが弱いからといって深剃りできないわけではなく、ちゃんとしたホルダーであれば、十分に深剃りできる。ただ、それなりのテクニックは要求される。そういった意味では、肌を傷つけないように気を付ければいいだけのアグレッシブなホルダーの方が扱いは簡単だと思う。
使い始めは慣れが必要だが、慣れてしまうとマイルドなホルダーが日常使いになるかと思う。個人的にはMerkur 34Cはマイルドだが、人によってはミディアム・アグレッシブと呼んでいたりするので、おそらくこの辺が境目ではないかと思う。
まとめ
選び方はアグレッシブさ以外にも快適さ使いやすさといったパラメータもあるが、一番大きな指標値はアグレッシブさだ。最初の一本に選ぶのであれば、中庸なMerkur 34CやMühle R89あたりではないだろうか。ここらへんは国内通販でも手に入りやすいし、東急ハンズあたりでも取り扱っていたりする。
値段としては少々高いかもしれないが、5000~6000円くらいの価格帯が使いやすいものが多い。これより安いものもあるが、今まで刃物関連をケチっていい思いをした記憶がないので、あまりにも安いホルダーは買わないことにしている。
両刃カミソリは使いこなすのにコツがいるので、最初は使いやすいものを選んだ方がいいだろうし、Mühleあたりは見た目も綺麗なので洗面台がラグジュアリーな感じになってよいと思う。
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