両刃カミソリを使ったシェービングをクラシックシェービングと呼んでいる。このブログを始める時に、最初につまずいたのが「両刃カミソリを使ったシェービング」を一言で何と呼ぶかであった。おそらく日本国内で圧倒的な知名度があるのがミューレなので、ミューレに倣って「クラシックシェービング」と呼ぶことにした。
先日、なんとなく「クラシックシェービング」を検索してみると、この記事が2番目に表示された。なんとなく書いた記事がそんなに順位が高いなんて思わなかった。申し訳ないので、ちゃんとリライトすることにした。
この記事を公開してから、もう5年以上経っているので、内容が古くなったり考えが変わったりしている部分もあるので、加筆や訂正をしようと思う。
どこで買うか
クラシックシェービングのグッズをどこで買えばいいかは、この記事を書いた5年前と大して変わっていない。相変わらず、海外サイト一択である。金に糸目はつけないというのであれば、ミューレのシェービングセット一式をそろえるのがいい。ある程度の予算内で収めたいのであれば、海外サイトから買うのが最もコスパが高い。
海外サイトはだいたい国際発送に対応している。送料でいうと、アメリカは高いのでイギリスもしくはEUから買った方が送料が抑えられる。グッズの価格自体はどこもそれほど変わらないので、イギリスもしくはEUから買った方がいいだろう。
通販サイトの仕組みなんて日本も海外も大して変わらない。Add Cart(カートに入れる)とCheckout(支払う)さえわかればどうにかなる。住所と名前だけはローマ字で入れておけば届く。
海外で買い物するために用意するもの
英語力は必要ない。自分の名前と住所をローマ字で書ければ問題ない。わからない文章はDeepLやGoogle翻訳が教えてくれる。
決済はクレジットカードもしくはPayPalが主流である。最近はApple Payとかに対応しているサイトもあるが、住所が日本語になったりするのでApple Payはおすすめしない。(住所や名前が日本語だと相手側で文字化けする可能性がある)
今後も海外通販の予定があるなら、PayPalアカウントを作って、名前と住所をローマ字で登録すると、ショップの決済画面に引き継がれたりするので、送り先や請求先はローマ字で登録しておくといい。
お試しだったらクレジットカードでいいと思う。ちなみにデビットカードでも決済できるので、クレジットカードは不安という人はデビットカードを使っても大丈夫だ。
最初に買っておきたいもの
クラシックシェービングをやるぞ!となると、最初に買っておきたいのは以下のものだろう。
- 両刃ホルダー(両刃カミソリ)
- シェービングブラシ
- シェービングソープ
- 替刃
ブラシで石けんを泡立てて、ふんわり泡でシェービングしたいんですよね?というラインナップである。意外と盲点なのが替刃である。替刃はいろいろな種類があり、使う替刃によっては今後のシェービングライフを左右する。しかも、絶対にこれです!と言い切れないほど人によって合う・合わないが違ってくる。こればかりはトライアンドエラーするしかない。
これだけあれば、いったん想像通りのクラシックシェービングが楽しめるはずだ。アフターシェーブのようなスキンケア系のものはあえて入れていないが、あった方がいい。肌への負担は電気シェーバーやドラッグストアで売っている安全カミソリよりも大きいので、化粧水とかの保湿できるものが必要になる。これらはこだわらなければドラッグストアでも揃う。
そこそこのものを選ぶとして、送料込みで1万円の予算になるかと思う。
両刃ホルダー
おすすめは山ほど出てくるが、混乱させるだけなので最小限に絞る。最初に買うなら、以下のどれかしかない。
- Muhle R89
- Edwin Jagger DE89
- Merkur 34C
最初はこれ以外を選択肢に入れなくていい。「モデルがたくさんあってわからないです」となるので、上の3つから選んでしまおう。洗面台の映えで選ぶならMuhle R89、映えよりも値段優先であればEdwin Jagger DE89、無骨な男らしさで選ぶならMerkur 34Cである。
使い心地はどれも優秀である。世界の多くの人がそう言ってるのだから間違いない。これを読んでいるあなたが例外になる確率は限りなく低い。あと、大した違いはないので、見た目と値段で選んでしまっていい。違いはあるが、今日から始めた人が認識できるほどの違いはない。
もしかしたら、フェザーのポピュラーなんかを選ぶかもしれないが、あれは使いづらく値段相応でオモチャに近い。マイルドホルダーならマイルドホルダーでもっと良いものがある。苦行のつもりでポピュラー使うなら、シェービング以外で求道の方法を見つけた方がいいと思う。
昔は「ポピュラーが初心者向けです」みたいないい加減な記事が多かったけど、最近はそうでもないらしい。
シェービングブラシ
人工毛(Synthetic)をおすすめする。
「シェービングブラシならアナグマ一択!アナグマこそ至高!」というのを見かけるが、実際のところはピンキリである。シルバーチップと呼ばれるアナグマ毛が最高と言われているが、何を以てしてシルバーチップとするかはメーカーによる。高級メーカーのシェービングブラシともなると予算の2倍はするので、おとなしく人工毛にしておこう。もしくは豚毛。
人工毛をおすすめするのは、ブレイクインが不要だからである。天然の毛は、獣毛なので脂分を落とす作業が発生する。特にアナグマはこの脂分が多く非常にめんどくさい。中性洗剤で何度も洗っては濯ぐ作業を繰り返す。あと最初は臭い。
あらゆるめんどくささをすっ飛ばして、手っ取り早く使えるのが人工毛である。開封してすぐに使えて安い。めんどくさい準備なんかしたくないでしょう?
それでも天然の毛がいいというなら、2番目の選択肢は豚毛である。中性洗剤で少し洗えば脂分が取れるのでハードルは低め。価格も安い。最初は硬いが、使い込んでいくうちにシルバーチップなのかそうじゃないのかよくわからないアナグマより柔らかくなる。Semogueあたりがいいんじゃないだろうか。豚毛ブラシは同一メーカーであれば、どのモデルもだいたい一緒なので、持ち手(ハンドル)のデザインで選んでいいと思う。
シェービングソープ
沼なので、深く考えない方がいい。おすすめはMichell Wool Fatである。泡立ちやすく、香りも石けんそのものなので誰にでもおすすめできる。あと、容器が映える。あとはDr. Harrisがいい。こちらも泡立ちやすい。香りはいくつか種類があるが、Windsorなんかは誰にでも受け入れられる香りである。容器が木製なので映える。
固形のソープの他、シェービングクリームも初心者にはおすすめである。固形石けんではなく、洗顔料みたいなものである。これは泡立てやすい。作っているメーカーも限られるので、あまり迷わなくていい。ほとんど使わないので、「これがいい」というおすすめはない。先ほどのDr. Harrisも固形ソープの他にクリームも作っている。
有名どころとしては、Tayler of Old Bond StreetやTrueffit and Hillだろうか。Trueffit and Hillは伊勢丹三越でも取り扱っているが、本国イギリスから買った方が安い。石けんを始めとした化粧品類は薬事法の関連で、業者が輸入すると高くなるようだ。値段は倍くらい違うので、Trueffit and Hillあたりを買って高級感を味わうのもいいと思う。
替刃
こればかりは肌質や肉付き、骨格といった遺伝子レベルの要因やスキルとの相性になるので何とも言えない。お試し用に色々な種類が入っているサンプルパックを買って試すしかない。試す価値があると個人的に思うのはいくつかある。
- Astra Superior Platinum
- Gillette 7 O’Clock Sharp Edge (Yellow)
- Rapira Super Stainless
- Lord Platinum
- Personna Platinum
- Polsilver Super Iridium
Astra、Lord、Personnaはシャープ過ぎずないので使いやすいと思う。気に入ったものや自分にあったものを見つけたら100枚単位で買ってしまうと安くなる。
オプション(あるといいもの)
なかには必須っぽいものもあるが、基本的にはドラッグストアとかの身近なところで買えるものである。
アフターシェーブ
シェービング後のスキンケア用品である。化粧水や乳液で、肌に合うものを使っているのであれば新たに購入する必要はない。
シェービング後のスキンケアはクラシック・シェービングでは必須となる。アルコールベースのアフターシェーブ・ローションとハンドクリームのようなバーム(乳液)に分かれる。できれば両方揃えるのが趣味としての流儀だと思うが、最初は保湿に全力を注いでバームかと思う。
ローションタイプ(海外ではスプラッシュ)は保湿よりも肌の引き締めや殺菌、香りといったところにステータスが割り振られているため、ダメージの回復には弱い。肌へのダメージを回復させる方法は基本的には保湿しかなく、どんな手を尽くしても保湿ができてなければ無意味といっていい。
保湿力はやや弱いがNIVEA for MENの敏感肌用のアフターシェーブローションは意外といい仕事をするし、海外でもファンが多いようだ。
シェービングボウル
ブラシでシェービングソープを泡立てる容器である。最初はこだわる必要はない。100均で売っているボウルとか、お椀とかそういったもので十分である。シェービングブラシのサイズに合わせて買うのがいいだろう。
頻繁に買い換えるものではないので、ある程度シェービングのやり方というか、スタイルが固まったらよく吟味して買えばいいと思う。陶器のものがいいと思うが、人それぞれじゃないかな。シェービングの結果を左右するものでもないので、趣味で選べばいいと思うし、100均の代用品を使い続けてもいいと思う。
アルムブロック
必須ではないけど、あった方がいい。使い道が多い。シェービング後に顔に塗りたくって、肌を引き締めるという使い方が一般的である。小傷で出血したときの止血にもなる。
シェービング後、顔に塗ったときにビリビリと沁みるようなら、肌を傷めているので、カミソリの使い方に工夫の余地がある。どれくらい沁みるかで自分のシェービングテクニックを判定するアルムテストというものもある。
一番の使いどころは、肌を指で引っ張ってヒゲを出す「張り手」の時に指先に塗って滑り止めにすることだろうか。深剃りを目指すとどうしても張り手が必要になるのだが、なにもしないと滑るので指先にアルムブロックを塗って、滑り止めとして使うのだ。
スタンド
ホルダーとブラシの置き場所である。ホルダーはいいとして、ブラシの置き場は意外と困るものである。1000円くらいのものでも使えるので、買っておいてもいいと思う。
導入コスト
結局、準備に挙げた品々は合計でいったいいくらかかるのか。おそらく1万円くらいである。高いか安いかは人による。以下の構成でだいたい1万円を超えるくらいである。
種類 | 品名 | 価格 | ショップ |
---|---|---|---|
ホルダー | Edwin Jagger DE89 | £20.00 | Connaught Shaving |
ソープ | DR. HARRIS Shaving Soap in beech wood bowl | £18.75 | 同上 |
ブラシ | Semogue No.1305 | £10.75 | 同上 |
替刃 | Popular Blade Sample Pack | £8.00 | 同上 |
アフターシェーブ | ニベアメン センシティブローション | ¥909 | Amazon |
合計で£57.5と¥909となった。海外調達分はレートが1 GBP=140 JPYだと、¥8051+送料となる。送料は1000円〜1500円くらいなので、全部で1万円を少し超えるくらいだ。
このエントリーを書いてる時点ではポンドのレートが安いのでイギリスのショップを選んだ。Connaught Shaving自体、安めの価格設定ではあるので、1ポンドが150円台くらいでも最安値に近い価格になる。
費用を抑えるならブラシかソープを別なのもにすればよいが、それだとTHE TRADITIONAL SHAVING COMPANYやSHAVE LOUNGEあたりのスターターセットの方が安くなるかもしれない。
まとめ
両刃カミソリによるクラシック・シェービングを始めるにあたり、揃える道具と参考コストを挙げてみた。趣味として始めるのであれば1万円は妥当なところかと思う。
どうせアレもコレもという風になるのだから、最初からそれなりに払ってしまってもよいのではないだろうか。
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