数年にわたりホルダーのレビューを書いてきた。実はホルダーの記事にはレビューの点数をつけている。記事の最後の方なので読み飛ばしている人もいるかもしれないが、几帳面にも点数をつけているのである。わぁ、偏執的。
評価の項目は「使いやすさ」「デザイン」「快適さ」「深剃りのしやすさ」「価格」の5項目でそれぞれ10点満点でつけている。価格は高ければ評価が小さくなる絶対評価であるが、それ以外の項目は相対評価で「これが8点ならこれは9点くらいかな」というような塩梅でつけている。
価格を抜いた平均でランキングを出したらどうなるのかな?と思ったので集計した。
RazoRock: Superslant L1 (95点)
比較的新しい現行品がランクイン。スラントホルダーの中でもマイルドなホルダーで、快適さは感動するレベルでよかった。「快適さ」で10点満点、「使いやすさ」と「深剃りのしやすさ」で9.5点でレビューしていた。デザインで尖った部分がないのでこの点数である。普通にいいホルダーだと思う。
Colonial Razors: The Silversmith (95点)
まだビジネスやってるのかよくわからないColonial Razorsの両刃ホルダーThe SilversmithがSuperslant L1と同率でああった。これは「デザイン」が10点満点で、「使いやすさ」と「快適さ」で9.5点でレビューしていた。オーソドックスなクローズドバーでマイルドなホルダーなので、深剃りしやすいというわけではない。どちらかというと、スムーズさに特化したホルダーである。
Gillette: Adjustable Slim (95点)
ビンテージからのランクインでGilletteのSlimである。ビンテージはここから入る人も多いのではないかと思う。名品と言っても過言ではない。一家に一本あってもおかしくない。最近は現行品でもアジャスタブルなホルダーが出ているので、無理に買う必要はないけどね。これを買った当時はアジャスタブルはそんなになかったと記憶している。
俺が持っているのはもうなくなってしまったビンテージのホルダーをガンコート(セラコートかも。忘れた)して販売していたDelta Echo Razor Worksのものである。もはやレアものになってしまったが、同じようなサービスは他にも1箇所くらいあったと思う。
アングルキープとかは考えなくていいので使いやすい。レビューしたときはデザインが9点だけど、10点でもいいかもね。
Gillette: Adjustable Fatboy (96.25点)
Slimと僅差だったのがFatboyの方。これもDelta Echo Razor Worksでコーティングしてもらった。「どうせコーディングするから」とヤフオクで汚いのを買った記憶がある。若干、ゆがみがあったけどコーティングの時に調整してくれて、今でもちゃんと使えている。
個人的にはSlimよりFatboyの方が使いやすいという理由でSlimよりもわずかに上位に来ている。ヘッドはFatboyの方が若干大ぶりなので、人によってはSlimの方が使いやすいと思う。
ランキングの平均点には「価格」の点数が入ってないのだけど、価格を入れた平均ではSlimとFatboyが1位だった。買った当時のレートと相場価格だと最もコスパが高いホルダーだった。
Mongoose II (97.5点)
AC片刃からのランクインはMongoose。これももう製造していない。AC片刃もそれなりにレビューしているはずだけど、これが唯一のランクインだった。わからんもんだな。両刃と比べてアグレッシブな分、「快適さ」でポイントが取れないのでAC片刃のランクインは両刃よりも難しいところはある。
そんな中でランクインするということもあり、AC片刃ホルダーで使ってきた中では一番いい。これは死ぬまで使い続ける自信がある。メーカーごとなくなる前に買ってよかったと思う1本だったりする。いっそのことインジェクターを使う方も買っておけばよかった。
Gillette: Aristocrat No.16 (97.5点)
イギリス製のGilette Aristocratがランクイン。弊ブログだもの。
クローズドバーで初期〜中期にかけての傑作ホルダーと言っても過言ではない。快適の一言でマイルドホルダーのあるべき姿だと思っている。No.16を超える現行品ってあるの?と思うくらい洗練されている。
ビンテージGilletteの中でも最高と呼び声が高いホルダーだが、残念ながらトップではなかった。1位でしょ、と思っていたけどそうでもなかった。
トップではないのは見た目。Aristocratはオープンコームの方がかっこいいと思います!という理由。ローレットは高級感あるけど、ヘッドはSuper Speed(Rocket)じゃん。
Gillette: Aristocrat 1936 (97.5点)
アメリカ製の初代AristocratがNo.16と同率3位。順当かな。深剃りのしやすさはNo.16よりも0.5ポイント下がるものの、見た目が金メッキでオープンコームということ、見た目でカバーした感じ。
アメリカ製Aristocratのオープンコームはとても使いやすい。クローズドバーがダメではないけど、オープンコームには見劣りする。
90年近く前のホルダーなので、流通量は少なく高いけどもビンテージで奮発するなら買って損はない。というか、時間が経つにつれて高くなるものだし、興味があるなら早めに買っておいた方がいいと思う。
Above The Tie: S1 (98.75点)
ビンテージ勢を抑えたのがAbove The Tieのスラントホルダーだった。今はBlackland Razorsの傘下でビジネスは続けるようだけど、まだ再開はしていないようだ。
Above The TieのスラントホルダーはクローズドバーのS1とオープンコームのS2があるが、S1の方がランクインした。スラントホルダーは肌への当たりが強めの傾向があるが、S1はマイルドな割によく剃れる。
RazoRockのSuperslant L1もいいが、どちらかというとS1の方が好き。ただ、スラント特有の傾斜は緩めなので好みは分かれるかな。
Gillette: Aristocrat No.15 (98.75点)
やはりAristocratで、オープンコームしかもイギリス製ということで、S1と並んで1位になった。弊ブログだもの。そうなる。
アメリカ製やNo.16よりも肌への当たりは強めだが、極マイルドな部類に入る。剃っている感が強く出るホルダーである。ここらへんのAristocratはどれも甲乙つけ難いものがあるが、やはり極わずかな違いがあるのが面白いところだ。
この順位の一番の理由はAristocratの中で一番綺麗に逸れるというホルダーの本懐みたいなものが一番強く出ている。No.16の良さは近代的だが、No.15は古典的な良さがある。
まとめ
もっとビンテージが並ぶかと思ったら、意外とそうでもなかった。一方で、廃番というか、メーカーごとなくなってしまったものが多い。儚すぎじゃない?世界的に見てもニッチな市場だから仕方ないのか。疫病や戦争で原材料が高騰したことも影響していそうな気がする。
ビンテージは原材料関係ないから相対的に安いかと言えば、昨今の円安もあり手が出しづらい状態でもある。ドルなんか数年前のポンドくらいの感覚になってしまった。
Muhle R89やMerkur 34Cが入っていないのは、R89と34Cが基準になっているのが理由である。R89と34Cを真ん中にして上か下かという評価なので、R89や34Cは入らないのだ。もっと定性的な評価だったら、R89も34Cもランクインするはず。
関係ない話だけど、この記事を書くにあたり「写真を撮るのがめんどくさいな」と思い、生成AIを使ったら、それっぽいけど、よくわからない画像ができた。仕方なく過去の写真を使い回しました。どう見ても人間が使うものじゃないのが混ざっていておもしろいので載せることにした。
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